2018年04月05日

「una:chenter Vol.14」終幕によせて・弐

こちらのエントリーでは、「una:chenter Vol.14」の演目ごとの所感を綴っていこうかと思います。反省文のつもりなので割と辛口、ともすれば自虐的です。自己否定では無く今後に繋げるためのものと思って頂ければ有り難いです。






【ハートにコブラツイスト】
多分、今回の演目では一番厳しい評価を受けた演目だったと思います。

はっきり申し上げるなら全ては私の責任、私の采配ミスです。

あの配役はベストだったか?音響・照明プランは?演技指導、演出にもっとテコ入れの余地はあったんじゃないのか?反省点を上げればキリがありません。後悔したくはありませんが……。

自分は過去にマスターと本間君を両方演じた経験があり、幸いにもそれなりに評判は良かったのですが、稽古中は一度も、自分が座組の前で演技を披露する事はありませんでした。明確な正解や最適解が無いこの演目で、自分の演技がベースになってしまうのを避けるためです。

しかし今振り返ると、それが却って裏目に出た部分も多々ありました。稽古日数に限りがあるのは他の面々も同じ。でありながら看過すべからざる差が生まれてしまった事実は、私が消化させるべき命題だと思います。

出演してくれた二人に自分から伝える事があるとするならば「本番に強い演者に育って欲しい」って所でしょうか。何を持って本番に強いと認定出来るのかは私にも分かりませんが……敢えて言うならば「余裕」でしょうか?一瞬で劇中世界に己のギアを入れられる余裕、己が置かれている状況を俯瞰的に眺めていられる余裕、お越し頂いたお客様に寄り添える余裕……。





【ゴースツ〜入浴後の幻】
過去に四回もお借りしている、大好きな作品です。私の中ではuna:chenterというシリーズを支えてくれたといっても過言ではありません。

ゴーストライター役、ゴースト役は共に配役シャッフル対象となりましたが、ビジュアル面の佇まい、イメージとの親和性、表情の巧みでは狼谷さんに。台詞回しの上手さはみれるさんに夫々軍配が上がる気がします。アプローチが俳優的か声優的か?みたいな。

そしてゴースト役ですが……今更多分、女性が演るの難しいキャラなんだろうなって思いつつ配役しました、役振った二人には無理な真似させちゃってごめんなさい(苦笑)でもヘタレキャラのみれるさんも、チャラ男ちっくに仕上げてきた芹澤嬢も積極的に演技プランあげてくれて嬉しかったです。これまたそれぞれの味が出てたなと。

夜の回を観に来てくれた戸來真由美さんが初代ゴーストライター役だったんですが、彼女が自分の中で演技のベースを作ってしまったんです。今回含めて四回上演していますが、ひょっとしたら私はずっとそのイメージを想定しているのでは無いか?という疑問もあります。勿論、以降ゴーストライター役を務めてくれた方々には、前任者の型に押し込めようとは思ってはいないのですが。

以降はちょびっとネガティブな話で……今回(四回目にして初めてなのですが)ご指摘頂いた点は二つ。まず「ゴーストが、ゴーストライターに肩入れする理由が希薄」っていう脚本の展開について。あとは二人の掛け合いの精度について。この二つは恐らく繋がっているのだろうと思います。率直に言えば私の掘り下げが甘かった。稽古の段階で妥協し過ぎたのか本番の怖さを想定し切れてなかったのか……狼谷さんは声のみで演技するノウハウをまだ根本的には理解できていなかったので、感情表現の配分については稽古の終盤でも苦労していましたね。本来なら私が上手くヒントをあげなきゃいけなかったのですが……。

最後に、もっとごめんなさいなのは編集者。あれ元々は台詞殆ど無かったんです。私が暴れたくてマシマシにしたんです。今流行りの加工師って奴です。本当にすいません。そして四回中四回とも私が演ってます。んで毎回この編集者の演技がやたらと褒めて頂けるんです。調子に乗ってしまってすいません。今回は品の無い台詞が多すぎて流石に後で怒られましたが……。





【ペーパーノイズ】
第一部のシメであり、終わったから白状しますと、座組の橋本美佳さんに客演オファー出したのと原作の田丸先生に上演許可を打診したのはほぼ同時期でした。つまりこの2点はセットであり揺るがせないものでした。橋本さんに三度お越し頂くならこの作品しかない、と。八割方は橋本さんのために用意したようなものです、本気で。

色々な人がお察しの通り、実はこれ非常に恐ろしい作品なんです。誰が読んでも一定以上はなっちゃうくらい完成度が高く、なのに演者の個性は出しづらいのに弱点や限界は容易く露見されてしまう。ともすれば演者が脚本の従属物に成り下がる(自分だったらタヒにたくなるけど)

だからこそ今回のテーマは「王道の究極系」を目指すって事で、最強のカードを切りました。

もう一つは橋本さんのスペックを今まで引き出し切れなかった負い目があった所にあります(少なくとも、私の中で)橋本さんは2010年に共演させて以来ずっとお世話になっていたのですが、una:chenterシリーズではウチの芸風に敢えて合わせてくださったきらいがありました。私は橋本さんの厚意に甘え続けてきたのかも知れません。そのお礼とお詫びも含めて、今回こそは本当の本当に最高の状態の橋本さんを、una;:chenterのお客様へお届けしたかったのです……ってさっきから何様や(苦笑)

読み手役のまーしーとの相性が比較的悪く無かった事もあり、評判は上々でした。彼も色々なプレッシャーを抱えていたかも知れませんが、頑張ってくれましたね。上演を快諾してくださった田丸先生の御厚意にも少しは報いられたかなと胸を撫で下ろしています。今思えば配役入れ替えたらどうなるかも試してみたかったですけどね。





【えすぺらんさ】
una:chenterシリーズでは再三お世話になってるじゅんのすけさんのペンによる短編ですね。

お客様にとっても演者にとっても、そして企画にとっても極めて難しい位置と評価の作品だったと思います。お客様からの感想も「訳が分からん」って人と「あの雰囲気大好き!」って人とで完全に二分されてて自分でもどう受け止めたら良いのかさっぱり分かりません(苦笑)

八年越しのファンである私は後者ですが、それでもあの散文詩の渦みたいなのが一から十まですっと腑に落ちる頭は持ち合わせてないです。無理だっつのwww

……だから稽古中でも座組からの反応は微妙なとこでした。分からないから(爆苦笑)ギリギリまで上演するのを悩みました。相方のみれるさんに伝えたら「なんで!?やろうよ!」って強く言ってくれたんで頑張れる気になりましたが。

そして内容はみれるさんの演技をベースにして若干の脚色を施しました。彼女が演り易いように、彼女の魅力がきちんと前面に出るように、そして作品の持つ何かを二人で引き出せるように。つまり3/31のアレは、私とみれるさんが演じるためだけに産み落とした「えすぺらんさ_20180331」なんです。

台本を交換する作業についても残すか削るかを決定したのは稽古期間の最終段階でした。6年前に2回上演した際は「多分これ意味不明すぎてお客さんを置いてけぼりにしちゃうから、やめよう」って削りました。云わば安パイを採ったんですね。今回それを敢えて残したのは挑戦であり実験でした。玉砕したっぽいですが(苦笑)

ただこの「台本の交換・移動」は朗読劇ならではのギミックだと思っていますので、今後自分の作品で何らかの形で活かしてみたいです。前例は皆無じゃないし今はふんわりとですがビジョンが見えてきています。他団体さんにも採用して欲しいですね。

そして本作品のテーマやニュアンスへ私なりの表現で挑戦すべく、ペンを執りたいとも思います。2013年夏に発表した拙作「ボクラ ヒ・マ・ワ・リ」は、実は「えすぺらんさ」への自分なりのオマージュだったりするのですが(こちらも二度上演し、音声化もしています)

……深い思い入れのあるこの作品に、私は漸くケリを付ける事が出来ました。今回が本当に最後の上演になるでしょう。卒業、ですね。

あ、ちなみに女房からは「桜庭一樹さんの『私の男』を思い出す」って言われました。どうやら私はK親相Kモノが好みなのかも知れませんねぇヴァーッハッハッハッハッハ





【櫻並木デ逢ヒマセフ。】
以前「ばなわに大丈夫?・2014春の陣」で発表済の奴ですね。

実は原田さんとこの「お気軽に。」にも提供してみたのですが却下されました(苦笑)だからそのリベンジの意味もあって今回使ってみた、と。ただ実際読み合わせてみると情報量が思いの外少なかったので結構加筆しました。

以前作者からも聞かされていましたが、桜子と桃川が単なる逢瀬では無い部分を多く含んでいますし、桃川と梅田の関係性も作品のテーマの根幹に関わってるんですが、その部分の説明はあまり描写しきれませんでした。かといってのべつまくなしに加筆しても冗長になる。改めて、一話完結の短編を執筆・上演する奥深さと難しさを知りました。

ヒロインの桜子は座組からも結構人気があり配役決定まで時間がかかりました、良い意味で。

本役の芹澤嬢は安パイというか手堅いプランで来ましたが、良くも悪くも余裕を残しすぎていたかなと。これは追い込むような稽古を展開できなかった私に責任があるとは思いますが。お客様からも「もっとやんちゃさが欲しいかも」というご意見がありましたね。あの華奢な感じが生活感の希薄さに変換されて桜子らしさに繋がってもいたかな?

一方、EX回の狼谷さんもかなり思い入れを持って臨んでくれて、独特の雰囲気があって面白かったのではと思います。当初は桜子のイメージに自身を寄せていくのに相当苦労していましたが稽古の参加率と努力でカバーした感じ。

桃川役の織倉俊哉は、稽古中はイントネーションで相当苦労してました、原因はよく分かりませんが。全員からいぢられていぢられて強くなりました(苦笑)今ひとつ自信無さげなのがちょいマイナスなので課題はそこかなぁ。基礎体力にやや難があるので、普段からの鍛錬を重ねていけば自信が生まれてくる気がするんですけどね。

梅田役のモリサキ君は、実は桃川候補でもありました、私の中では。本人の強い希望でここに収まりましたが。彼もまたどういう梅田像を描き出そうか悩んでいたようです。演技作りで悩んでるなら事前にもっと質問しに来いよ!って思うんだけどねぇ(苦笑)声質や得意分野には合っていたと思いますが、まだ彼のポテンシャルを引き出し切るには至ってないかもしれません、まだまだこれからですね。
posted by 音声劇団ばなわに! at 09:49| Comment(0) | una:chenter | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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